공유

17.お兄ちゃん気質のあの人⑤

작가: 鷹槻れん
last update 최신 업데이트: 2025-07-05 12:00:07

 それに気づいたからこそ私、さっき居た堪れなくなって思わず逃げて来たんだ。

 少し気持ちが落ち着いたら……ちゃんと寛道《ひろみち》と話をしないといけないよね。

 そう思った。

***

「それ甘そうだし飲みもん要るだろ?」

 聞かれて、アーンと開けていた口を慌てて閉じて、鳥飼《とりかい》さんに視線を移す。

 危ないっ。突然お預けみたいなことされた?からヨダレが垂れちゃうところだったわ!

「あるんですか?」

 普通なら「お構いなく」なのかもしれないけれど、あるなら欲しいな?と思ってしまうのが私という人間なわけで。

「今はねぇけどちょっと行ったトコにコンビニがあるから寄ってやるよ」

 とか。

 わざわざ寄り道していただくのはさすがに申し訳ないかも?

 そう思って「あ、それなら大丈夫です」って言ったら「ま、遠慮すんな。俺も買いたいもん出来たし」ってククッと笑われた。

 この人、きっと〝人たらし〟さんだって思ってしまう。

 だって何だか痒いところに手が届く至れり尽くせりぶりなんだもん。

「妹さん、きっと鳥飼さんのこと大好きれふね」

 シュークリームにかぶりつきながらモゴモゴとお行儀悪く言ったら、「さぁそれはどうだかね」と意味深に返された。

 私には兄はおろか姉も弟も妹もいない、根っからの一人っ子だからよく分からないけれど、漫画なんかだとハンサムなお兄さんってポイント高いと思うんだけどな?

 禁断の兄妹愛ものとか結構あるじゃない?

 でも幼なじみ同様、実際はやっぱり漫画みたいにはいかないものなのかしら。

 そんなことを思っていたら「うちの妹はさ、俺より他所の兄貴に懐いてっから」とか……何それ何それ、めちゃくちゃ面白そうなんですけどっ!

「よ、よそのお兄さんって何ですか!?」

 言いながら前のめりになったら、「

이 책을 계속 무료로 읽어보세요.
QR 코드를 스캔하여 앱을 다운로드하세요
잠긴 챕터

최신 챕터

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   17.お兄ちゃん気質のあの人⑤

     それに気づいたからこそ私、さっき居た堪れなくなって思わず逃げて来たんだ。 少し気持ちが落ち着いたら……ちゃんと寛道《ひろみち》と話をしないといけないよね。 そう思った。***「それ甘そうだし飲みもん要るだろ?」 聞かれて、アーンと開けていた口を慌てて閉じて、鳥飼《とりかい》さんに視線を移す。 危ないっ。突然お預けみたいなことされた?からヨダレが垂れちゃうところだったわ!「あるんですか?」 普通なら「お構いなく」なのかもしれないけれど、あるなら欲しいな?と思ってしまうのが私という人間なわけで。「今はねぇけどちょっと行ったトコにコンビニがあるから寄ってやるよ」 とか。 わざわざ寄り道していただくのはさすがに申し訳ないかも? そう思って「あ、それなら大丈夫です」って言ったら「ま、遠慮すんな。俺も買いたいもん出来たし」ってククッと笑われた。 この人、きっと〝人たらし〟さんだって思ってしまう。 だって何だか痒いところに手が届く至れり尽くせりぶりなんだもん。「妹さん、きっと鳥飼さんのこと大好きれふね」 シュークリームにかぶりつきながらモゴモゴとお行儀悪く言ったら、「さぁそれはどうだかね」と意味深に返された。 私には兄はおろか姉も弟も妹もいない、根っからの一人っ子だからよく分からないけれど、漫画なんかだとハンサムなお兄さんってポイント高いと思うんだけどな? 禁断の兄妹愛ものとか結構あるじゃない? でも幼なじみ同様、実際はやっぱり漫画みたいにはいかないものなのかしら。 そんなことを思っていたら「うちの妹はさ、俺より他所の兄貴に懐いてっから」とか……何それ何それ、めちゃくちゃ面白そうなんですけどっ!「よ、よそのお兄さんって何ですか!?」 言いながら前のめりになったら、「

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   17.お兄ちゃん気質のあの人④

     そう思ってオドオドしたら、「そういや甘いの好きか? さっき職場からもらったシュークリームあんだけど」ってセンターコンソールに置かれていた小さな袋を差し出されて。「俺そんな甘いの好きじゃねぇし、やるよ」 ――どうせ妹に食わせようと思ってたし。 ボソリと付け加えられた言葉は、袋の中からふわりと漂った甘い香りにかき消された。「あ、あのっ、じゃあ、こっ、後部シートでっ」 シュークリームに目がくらんで、恐る恐る譲歩案を提示しながら袋を受け取る。そうしながら、窺い見るように「とっ、ところでこの車、飲食禁止とかじゃない……です、よ、ね?」と付け加えたらクスクス笑われた。 「?」 汚れるからダメ、とか渋い顔をされるなら分かるけれど、笑われるのは意味分かんない。 そう思ってキョトンとした私に、「いや、前に御神本《みきもと》先輩が言ってた通りだなと思ってさ」とか。 ちょっと待って、頼綱《よりつな》、何言ったの!?「別に食ってくれて構わねぇよ。――あと、一応断っとくけど助手席に乗ったからって俺、あんたのことどうこうしようとは思わねぇからな?」 ソワソワしながら後部シートに腰掛けた私に、「さすがにそこまで俺も飢えてねぇわ」って鳥飼《とりかい》さんが吐息を落として。 「飢えてない」のワードだけやけに耳に残った私は、「いま鳥飼さんが腹ペコじゃなくて本当によかったです!」って微笑んだ。 お腹いっぱいだからシュークリームくれたんですものね? ニコニコした私に、鳥飼さんが瞳を見開く。  私はそんな彼を見上げながら、さっき思ったことを口にした。「……助手席は彼女さん専用シートってイメージなので後ろがいいんです」 助手席に座ったらどうこうされるとかは全然思ってなかったですけど……確かに真横で美味しそうなもの食べられたりしたら、「やっぱ俺にも一口」になる可能性ありますもんね。さすが鳥飼さん。先見の明ってやつですね!と心の中で付け加え

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   17.お兄ちゃん気質のあの人③

     そう思って慌てて顔を上げたら「あ!」って思う。 このキラッキラのまぶしいほどの金髪と、嫌味なほど整った顔。 私、知ってる。「とり天の研修医さん!」 隠れ家的料亭『あまみや』で出会った、鳥なんとかという名前の、ピカピカの天ぷら衣みたいな煌びやかな頭をした研修医さんだ! そう言いたかったのに、色々すっ飛ばした結果情報が錯綜してしまった。 私の失礼な発言に、一瞬目を見開いた〝とり天〟さんが、「何だよ、それ」ってつぶやいて。 さすがに怒られる!?って思ったけれど案外穏やかな声音で噛んで含めるみたいに「とり天じゃなくて……鳥飼《とりかい》、な?」って言いながら、私の手を引いて立たせてくれる。 そうだっ。 鳥飼さんだ。鳥飼……確かサザエ? んー。何か違うな。 そもそもそれ、多分女性の名前だし。「鳥飼……ナミヘイさん?」 そう言ってみたものの、4文字はどこか違和感がある。確かサザエみたいに3文字だったのよ。「んー、4文字じゃなかったですね。あ! そうだ! ――カツオさん? マスオさん? あ、タラオさんだったかもっ!」 言いながら恐る恐るすぐ横に立つ長身の彼――多分頼綱より数センチ高い?――を「どれが正解でしたっけ?」と見上げたら、「どれって言われても。どれもこれも掠ってもいねぇんだけど?」って苦笑された。「正解は、鳥飼奏芽《とりかいかなめ》、な?」 言われて、母音のところだけで考えると、「ああえ」になる「サザエ」が1番近かったんだ! いい線まで思い出せてたのに惜しかったな!?と思う。 そんな私を横目に、「で、あんたの名前は花々里《かがり》ちゃん、で合ってんだろ?」とか。 さっきも思ったけど、私、自己紹介した覚えないのに、何で知ってるの! 研修医っていうのは世をしのぶ仮の姿で、本当は興信所の人か何かなんじゃないですかっ⁉︎ そう思って

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   17.お兄ちゃん気質のあの人②

     そのことに居た堪れなくなった私は、右も左も分からないくせに後先考えずに走り出して。 寛道《ひろみち》がハッとしたように「花々里《かがり》!」って呼び止めてきたけれど、全部全部無視してただがむしゃらに全力疾走をした。 もう、今日は大学……行きたくない。 行きたくても、自分が今どこにいるのかも分からない現状では、到底行き着けやしないのだけど――。*** しょぼーんと1人、よく分からない住宅街をトボトボと足を引きずる様にして歩く。 どうして今日に限って私、パンプスなんて履いてきてしまったんだろう。 ヒールが高いわけではないけれど、スニーカーほど歩くのには適していないそれは、闇雲に歩くには向いていなくて、かかとの辺りが擦れてきてちょっぴり痛い。 履き慣れた(と思っていた)靴でも、靴擦れって出来ちゃうんだ、とかどうでもいいことを考える。 と、突然カバンの中の携帯がブルブル震えて。 寛道だったら出ないって思ったけれど、画面に表示されているのは小町ちゃんだった。「もしもし?」 幼なじみの名前を見た途端、気が緩んで泣きそうになる。それを堪えながら電話に応じたら、『花々里ちゃん、今、どこ!?』 と、小町ちゃんにしてはややヒステリックな声が聞こえてくる。「……分かん、ない」 キョロキョロとあたりを見回してみたけれどこんな景色、見たことがない……と思う。 御神本邸《みきもとてい》の辺りほど一軒あたりの敷地は広くなくて、むしろ割と見慣れたサイズ感のある家々が建ち並んでいる。 あっちの方に見えるアパートも、4世帯しか入れないような2階建てで。 自分が母親と住んでいたのもあんな小規模なアパートだったなとふと思って、何だか無性に懐かしくなる。『迷子になってるの?』 ややトーンダウンした声で問いかけられて、小さくうなずいてから、電話じ

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   17.お兄ちゃん気質のあの人①

     昨夜も頼綱《よりつな》と一緒の部屋で寝る寝ないの攻防戦があって……。 私は昨日も何とかっ! 這う這うの体《てい》でお引き取り頂いたの。「あのっ、私たち、結婚してるわけでも……ましてやお付き合いしているわけでもないのでっ」 ――婚姻届も保留してますよね⁉︎ 付け加えるようにそう言ったら、案外すんなり引き下がってくれて。「そうか。花々里《かがり》は順番を重んじるタイプなんだね。承知した。俺もなるべく筋を通すよう配慮しよう」 どこか清々しいぐらいの引き際の良さにホッとしたのも束の間、告げられた言葉にちょっぴりソワソワ。 これできっと主従関係にある限りは添い寝を迫られることはなくなる、んだと……思う。 思うけれど、「なるべく」「配慮しよう」というのが気になるところ。 頼綱って、何を考えているのか読めないところがあるから。気を抜いていたら斜め上からの攻撃がありそうで怖い。 昨夜のやり取りのせいで、せっかく寛道《ひろみち》が頑張ってくれた健闘も虚しく、お母さんのサインをあっさり取り付けてきたりしそうな気さえして。 お母さん、流されやすいもんなぁ。  美味しいものとかちらつかされたら特に危険! そんなこんなを思っていたら、ないって言い切れないところが怖くなる。 頼綱って、いわゆるヤンデレなんじゃない?と思うことが多々あるから油断できない。 そこでふと、昨日の怒涛の着信履歴を思い出してゾクリとする。 ***  なんてことを考えながら歩いていたら。「おはよう、花々里。迷わず来れたとか感心じゃん。――……ってオイ! 無視かよ!」 いつの間にか寛道との待ち合わせ場所にたどり着いていた――ばかりか通り過ぎてしまったみたいで、慌てた様子の寛道に腕を掴まれた。 途端、昨日頼綱に、寛道に掴まれた腕のアザに口付けられたのを思い出した私は 「ダメ!」  言って、慌てて寛道の手を振り解いた。 あまりに強く突っぱねてしまって、ハッと

  • そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜   16.色々と予想外です!⑥

     だって今日 寛道《ひろみち》としたことで最大のイベントごとってカボチャのはずだし。 それ邪険にされるとか有り得ないよ。 そう言おうとして、またしてもハッとある事を思い出して、「あ! お母さんのお見舞い!? それも寛道としか行ってないよ?」 せかせかとそう付け加えたら、『それもっ、今はいいんだよ!』と一蹴されてしまった。「じゃあ、色々って……何? さっぱり分かんない!」 言い捨てて電話口で首を傾げたら『お前、あの男に抱きしめられたって……。その後とか……ほ、他には……っ』って何故か歯切れ悪く言われて、ブワリと身体に熱がこもる。 そ、そこ、掘り下げてきます? 自分もいきなり抱きしめてきたくせに? そんなことを思いながら、私はしぶしぶ白状することにした。「は……」『は?』「は、……鼻水はっ! 寛道にしかつけてないからっ!」 頼綱《よりつな》との時は鼻を打ったりしなかったし、涙目にもならなかったから大丈夫! そう言って胸を張ったら『はぁ!? お前、俺に鼻水つけたのかよ!』って……。 だからあの時散々そう言ったじゃない! ムッとして電話に向かってベーっと舌を出したら、見えていないからか、寛道が気持ちを切り替えたみたいに言ってきた。『あー、まぁあれ。そのことは明日また学校行きながら聞くから』 そのことって?と考えてから、もぉ、しつこいなぁと思って、「鼻水は洗濯すれば落ちるでしょう? 許してよぉ」と言ったら、『バカっ! 誰も鼻水のことなんて話してねぇし。俺が気にしてるのはお前があの男と……』って言いかけて。『あー、もうっ、とにかく! 明日また今朝のところで待ってるから。あそこぐらいまでは迷わず出てこいよ? 分かったな!?』 って、一方

더보기
좋은 소설을 무료로 찾아 읽어보세요
GoodNovel 앱에서 수많은 인기 소설을 무료로 즐기세요! 마음에 드는 책을 다운로드하고, 언제 어디서나 편하게 읽을 수 있습니다
앱에서 책을 무료로 읽어보세요
앱에서 읽으려면 QR 코드를 스캔하세요.
DMCA.com Protection Status